「私が選んだ」は、本当か。——スーパーの棚に仕掛けられた、音のない招待状。

広告の違和感

スーパーの買い出しは、ちょっとしたサバイバルです。 でも、私たちはそんなふうには思っていません。

「今日は特売だったから」 「これが一番おいしそうだったから」

そうやって、自分の意志でカゴに入れていると、 疑いもなく信じています。

でも、本当のところはどうでしょうか。

かつて食品メーカーの営業として、 スーパーの「棚」の奪い合いをしていた頃のことです。

私は、人間の「自由意志」というものが、 たった数センチの棚の高さに左右されるのを、嫌というほど見てきました。

売り場には**「ゴールデンライン」**と呼ばれる場所があります。 大体、床から135cm〜150cmくらい。 大人が一番自然に目を向け、 無意識に手を伸ばしてしまう、魔法の高さです。

そこに置かれた商品は、何もしなくても売れていきます。 逆に、そこから外れた足元の棚にある商品は、 どんなに中身が素晴らしくても、誰にも気づかれずに眠り続けます。

私たちの「手」は、自分の心ではなく、 誰かが緻密に計算した「棚の設計図」に、 そっと導かれているだけなのかもしれません。

(ちょっと、怖くないですか?)

でも、これに怒る必要はありません。 売り場を作る人たちも、必死に「正解」を探しているだけなのです。

大切なのは、その仕掛けに気づくこと。 「あ、いま私、ゴールデンラインに釣られたかも」 と、自分にやさしくツッコミを入れてみる。

そう気づいた瞬間、スーパーの見え方が少しだけ変わります。 誰かが設計した「買わせるための正解」から、 そっと自分を外に連れ出してあげる。

今日は、棚の端っこの方にある、 誰にも見向きもされていない、 でも実は一番正直な顔をしている商品に目を向けてみる。

そんな、ニュースにもならないような小さな抵抗が、 「自分の選択」を自分に取り戻す、第一歩になるはずです。

誰かを倒すためではなく、 自分が自分として呼吸するために。

今日も、日常に小さなツッコミを置いていきます。

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