「第一報」という名の、最初の支配

ニュースの違和感

私たちは、最初に耳にした情報を、無意識に「基準(正解)」として脳にセットしてしまいます。心理学ではこれを初頭効果と呼びます。個人の判断においても起こる現象ですが、社会全体で起きたとき、その影響は決して小さくありません。

速報、SNSのトレンド、誰かの第一声。情報のスピードが上がるほど、私たちの脳は「早く答えを出して安心したい」という欲求に引きずられ、最初に入ってきた情報を鵜呑みにしがちになります。けれど、その第一報は、たいていの場合、事実の断片にすぎません。

ここで、自分の中に「やさしいツッコミ」を入れてみます。

「『えっ、あの人がそんなことを!?』と驚いたとき、私はまだ、片方の言い分しか聞いていないことを忘れていないかな? 早く誰かを犯人に仕立てて、安心したがっているだけじゃないのかな?」

自律した情報の受け取り方とは、あえて判断を保留することです。第17回で触れたように、「わからない状態に、少しだけ居座る」。この姿勢は、即断即決を良しとする風潮の中では、ときに弱く見えるかもしれません。

けれど、武士が相手の最初の一撃を、力で受け止めるのではなく、静かに受け流すように。私たちもまた、最初に入ってきた情報の勢いに呑まれず、一歩引いて、次の一報、そのまた次の一報を待つことができます。

この「すぐには信じない」という態度は、周囲からは冷たく、あるいは決断が遅いように映るでしょう。しかし、最初の一撃=最初の支配から逃れ、自分の頭で考え続けるためには、この「静かな保留」こそが、最も強力な防衛手段になります。

わからないままでいる勇気。 判断を急がないという選択。

それは目立ちませんが、確実に、私たちの思考のハンドルを自分の手に取り戻してくれます。

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