保険の営業さんと、私の「ハンドル」の場所。

広告の違和感

仕事の合間や、ふとした日常の隙間にやってくる、保険の営業さん。 彼ら、彼女らと話していると、いつの間にか「なるほど、その通りだな」と、吸い込まれるように納得してしまう。そんな不思議な体験はありませんか?

例えば、デスクにそっと置かれた小さなアメ。 「近くまで来たので」という、さりげない再会。 その一つひとつに、いつしか心が温まり、「この人の言うことなら信じられるかも」という気持ちが芽生えてくる。

営業さんがプロとして、あるいは無意識に駆使しているその技術には、認知科学的な裏付けが詰まっています。

何度も会ううちに親近感が湧く「単純接触効果」。 ちょっとした心遣いに応えたくなる「返報性の法則」。 そして、誰もが抱く将来の不安を、統計という「正解」で紐解いていく確かな知識。

それは、私たちが「一人で抱える不安」を「誰かと分かち合う安心」へと変えてくれる、プロの鮮やかな手腕です。

でも、その流れるような説得の心地よさに身を委ねているとき、私はふと、自分の内側にあるセンサーに目を向けます。 (この納得感は、私の心から湧き出たものかな? それとも、誰かが用意してくれた正解かな?)

(……いや、ちょっと自分を置き去りにしすぎじゃないですか、と心の中で呟いてみる)

保険は、人生の大きな決断です。 だからこそ、営業さんの素晴らしい提案を「鵜呑み」にするのではなく、もう一度自分というフィルターを通してみる。 技術によって引き出された「YES」ではなく、自分の実感が伴った「YES」にまで昇華させたいのです。

ここで、自分の中に「やさしいツッコミ」を入れてみます。 相手の熱意や技術に感謝しつつ、心の中でこう囁いてみる。

「この安心感は、私の手触りだろうか?」

そうやって一呼吸おくだけで、プロの「正解」と、自分の「実感」の間に、風通しのいい距離が生まれます。 アメをくれた優しさには心から感謝しつつ、契約書の前では、自分の感覚を一度一周させてみる。

一人の優秀な専門家が導く「正解」をそのまま受け取る世界より、 みんながそれぞれの「実感」を手に、迷いながら「これが私の正解だ」と選べる場所の方が、 きっと、本当の意味での豊かな未来が待っているはず。

次に、誰かに強く「正解」を勧められたときは、 いったんうなずく前に、 「私のハンドル、今どこにある?」と 自分の中を一周してから、返事をしようと思います。

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