シンガポール駐在生活から8年ぶりに帰ってきました。特にここ3年間は全く帰れなかったので特に変化を感じています。その正直な感想、日本に対して思うことをどうぞ。
はい、私、シンガポールに8年間駐在しておりました。
そして2023年1月から異動となり日本の大阪梅田の事務所に帰ってまいりました。
せっかくですので、感覚がフレッシュなうちに、帰ってきて感じたことを
皆様に紹介したいと思います。
特にここ3年間は時代の大きな変化が訪れたと感じざるをえないです。
キャッシュレス化が大きく進んだ
2020年からのコロナ禍で人と人との接触に対する対応が求められました。
そのため現金大国であったこの日本でも大きくキャッシュレス化が進んだことを
感じました。
・市役所
・近くの医療施設
・コンビニエンスストア
・その辺のたこ焼き屋
などなど、現金でしか受け付けてくれなかったお店、サービスが
ほとんどカードやPaypayに対応していました。
これは驚くべき変化です。
シンガポール同様、現金を持ち歩く必要が減りました。
シンガポールは一部のカフェでは現金お断りのところもあり、少し
行き過ぎ感がありますが、日本では現金オールウエルカム兼キャッシュレス化の
ため非常にユーザー思いです。さすがサービス大国。
少し残念な点は、書類がまだまだ手書きのみ。
私がお世話になった各市役所は全てキャッシュレス化が進んでいました。
一方で、あらゆる申請はいまだに手書きのみだったことは強調しておきたいです。
そこは全く8年前から変化なしでした。
ただ官公庁のあらゆるデータはセキュリティが甘く、海外で多く流出して
いるので手書き情報の方が安全である一面もあるかもしれません。
それでも、事前にオンラインで申請ができれば、市役所の方々の労力も
相当減るはずです。
現状維持バイアスに縛られず改善を続けてほしいです。
キャッシュレス化を達成したのでペーパーレス化も可能です。
医療費が・・歯医者が・・・安い!安い!
医療費が・・歯医者が・・・安いんです。シンガポールと比較せずにはいられません。
帰国後間もなく、深夜の救急医療を家族が受けた後、支払いをする際に目を疑いました。
たったの数千円なんです。確か2~3千円程度でした。
シンガポールで鬼のように高い診察費を請求されていた私は、
診察費用を間違いじゃないかと思うほど驚きました。
駐在員の身分でシンガポールに滞在していたので保険で大部分はカバーされていましたが、
保険会社提携の病院以外では一旦、自分で支払いを行う必要があります。
もう簡単な火傷でも10~15万円、
たった4~5針を縫う必要のある怪我でも10数万円、
歯科での神経治療は全部で約SGD 3,000=約30万円と相場感が違うわけです。
そこから帰ってきて、日本の国民皆保険制度というシステムはと非常に優れている
と私の目には映ります。
本来、社会はこうあるべきだと心底思いました。
経済学者のフリードマンでさえ、医療と教育は無償が望ましいと言っていましたが、
その意味が伝わってきました。医療費が高ければ人々は医療から遠ざかり、
すぐに医療にアクセスできれば軽症、軽傷で済むものも先延ばしすることで
高くなってしまいます。
アメリカなどでは医療費が高すぎて流行り風邪の流行時にも多くの人々は
病院に行くという習慣がない方々も多くいます。結果、こじらせて重症化してしまいます。
それが理想から遠いことは言うまでもありません。
日本ではこの健康保険費用がかさみ過ぎて、大きな国民負担となっているのも
理解していますがこれが崩れると、社会の成り立ちも変わってきます。
先人たちの努力にただただ感謝です。
ご飯が、ご飯が、日本食はやはり美味しい!
ご飯が、ご飯が、日本食はやはり美味しい!
正確には日本のレストランで食べるほとんどの食事が美味しいということです。
大阪でオフィスを出て昼食に出ますよね。
近くのサラリーマン向けの食事処で日替わり定食を食べると、
美味しいんです。とても美味しいんです。
もうお米も味噌汁も完全なる本物(当たり前)ですし、
食事の種類も豊富です。
極めつけは700円とか800円でお財布にも優しいことです。
日本はもっと食事のおいしさをアピールしたほうが良いです。
お米も減反政策などセコイことはせず、どんどん増やして
米農家がしっかり儲かるような輸出の仕組みを作れば、そのお米が
呼び水となって観光客が増えるのではないでしょうか。
シンガポールでも日本食は当然あります。
高級寿司屋では日本から空輸で海産物を運んで提供しています。
ただそれはサラリーマンだと接待で使うレベルで価格も良いので普段は食べられません。
そして安い日本食に行くと少し違う米、少し違う味噌汁のセットのため
日本のレベルを知っていると積極的に食べようとは思わないのです。
電車での移動が速く、便利
電車での移動が便利なんて日本に住んでいれば当たり前の話で気づかない
かもしれません。
久々に日本に帰ってくると、日本というのは鉄道網が張り巡らされており、
どこに行くのも非常に便利であることを感じます。
これは実は凄いことなんです。
想像してみてほしいのですが、海外で電車で観光にいきますか?
韓国、中国やスイス周辺など一部欧州では発達しています。
それと比べても圧倒的に便利なシステム網が既に構築されているのは
これもまた先人たちの努力、そして私たちの納税のおかげです。
アクセスもしやすく、あらゆる施設は駅基準で街が整えられており
利便性の高さは秀逸です。
公共の設備、システムが古い
設備、システムが古いと感じることが多々ありました。
例えばビル。エレベーターや電気的な設備が数十年前から変わっておらず
古さを感じてしまいます。
ただ、大切に長く使っているというポジティブな要素も大きいですね。
それでも中規模以上の駅で階段が多くエスカレーター、エレベーターが
十分でないため、年配の方や子連れの方が歩かざる得ない場面を
よく見ます。ここはまだまだ改善できる点だと思います。
英語を含む外国語での表記、英語でのアナウンスが増えた
英語を含む外国語での表記、英語でのアナウンスが増えたと感じます。
新幹線でも英語で車掌がアナウンスしていますし、
阪急電車でも英語、中国語、韓国語での到着駅名表示がありました。
体感的にもしっかりと海外の方々への対応ができる国へと進んでいると思います。
日本のコンビニエンスストア、やっぱり素晴らしい
海外に渡航しないとわかりにくいことですが、日本のコンビニは
あらゆる美味しいお菓子、軽食、コーヒー、生活必需品の全てが
揃っており、そのレベルの高さは世界一だと私は思います。
どうしたらこんなに高い品質を維持できるのか、やはりそのシステムを
構築した人もそうですが流通網や生産網の懐の深さが大きく関係しています。
ビジネスの現場は非常に厳しいのは、この世界一の水準に合わせるためだと
感じています。
皆、真面目に働いている。
これは一長一短あります。
日本人は真面目過ぎるという点では間違いないです。
そこまでしなくても・・・、というきめ細かさです。
簡単なエピソードです。
先日、シンガポールのお客様を東京郊外に案内したとき、車で駐車場に
入りました。そこの駐車場前には案内員がおり、車の出入りの際に
指示を出してくれます。
そこでのシンガポールの方のコメント、
「皆、真面目に仕事している。シンガポールやマレーシアでは
まずスマホを片手に何となく仕事をしている人が多いので凄い。」
というコメントを頂きました。
もちろん、高級ホテルなどの誘導員はしっかりと働いています。
一方で少し中心部から離れるとそのレベルは一気に落ちます。
確かにそう言われると、真冬の寒い中にも拘わらず仕事を全うする方々は
神々しく見えました。